2012年11月3日土曜日

こんな映画は見ちゃいけない!(11/3)

本日、とりあげる作品は

「ワンナイト・ワンラブ」 です。

夢を追っている彼女の胸の内は分かる、かつて自分もそうだったから。
恋に落ちるチャンスには敏感、ラブソングを歌っているから。何より、
どこか魂のレベルで共鳴し合っている、音楽を志した同志だから。映
画は手錠で繋がれてしまった男と女が、反目しあいながらも徐々に気
持ちを通わせていく姿を描く。音楽祭という非日常的な空間が醸し出
す高揚した空気に心が解放され、素のままに戻った時、ふたりの関係
は堅牢な手錠以上に分かち難くなっていく。そんな、人を優しく幸せ
な気分にさせる"音楽の魔法"をあらためて認識させられた。

ロックフェスに出演する人気ユニットのボーカル・アダムは、ガール
ズバンドのモレロと諍いを起こす。そこに見知らぬオッサンが仲介に
入り、ふたりの手首に手錠をかけたまま雑踏に消えてしまう。

鎖を切ろうと奮闘するが歯が立ず、各々の恋人たちにも誤解されたり
する。やがてモレロたちのバンドが本番を迎えると仕方なくアダムは
一緒にステージに上がり、モレロの演奏にちょっかいを出しはじめる。
ところがアダムが彼女たちの曲を巧みにアレンジして、ふたりがいつ
しか絶妙のコラボを見せるあたり、ノリのいいリズムとメロディは心
理的な壁を容易に壊してしまう力を持つことを教えてくれる。

なにより本物のロックフェス開催中に巨大なステージと数万の群衆を
バックに撮影されたひとつの恋が生まれる瞬間は、アダムが口ずさむ
ラブソングにも似たときめきと生きる喜びに満ちあふれていた。

お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

「ワンナイト・ワンラブ」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20120917

を参考にしてください。

本日はもう1本

「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」 です。

リッチな夫のもとでセレブ暮らしを満喫しているはずだった。だが、
それが望んだものとは違うと気づいた時、彼女は恋のためにすべてを
なげうったカップルの物語に魅かれていく。あの時の選択は正しかっ
たのか。もっと別の道があったのではないか。失ったものと得たもの
を天秤にかけても後悔だけはしない。そんな感傷が時を越えて蘇る。
映画は「世紀の恋」と呼ばれたロマンスと、前世紀末のヒロインの苦
悩と出会いを対比させ、未来は自分の意志で選ぶべきだと訴えかける。

夫とギクシャクしているウォリーは、元英王エドワードと妻のウォリ
スの遺品が出品されるオークション会場に足を運ぶ。故人の愛用品の
数々に思いをはせるうちに、ウォリスの生涯に興味を持ち始める。

DV、退屈な結婚生活、ウォリーはウォリスの身の上を調べるうちに自
らの境遇を重ね合わせ、競売場の警備員・エフゲニに声をかけられる
と彼の優しさによろめいていく。亡命ロシア人の元ピアニストだった
エフゲニの奏でるメロディに傷ついた心を癒していくウォリー。エフ
ゲニはカネはないけれど、寂しい時に寄り添ってくれ、思いやりにあ
ふれている。彼と触れあう過程と、ウォリスとエドワードの関係がシ
ンクロし、ウォリーは新たな価値観に目覚めていく。

蠱惑的な1930年代のファッションと英王室のおおらかなカジュアルさ
といった時代の空気がスタイリッシュな映像に再現されていて、国王
の運命を変えたウォリスの魅力が香り立つようだった。。。

お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

「ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20120824

を参考にしてください。

本日はもう1本

「黄金を抱いて翔べ」 です。

固くない結束、綿密さに欠けるアイデア、脇が甘い仲間、断固たる決
意のみえない動機。およそ大がかりな金庫破りを企むグループとは思
えないみすぼらしい男たちが織りなす、スタイリッシュのかけらもな
い映像は、クライムサスペンスのあらゆる定石を覆し見る者の予想を
打ち砕いていく。大銀行の堅牢な地下金庫に眠る金塊を盗むプランを
実行するのに、ハイテク機器を一切使わず力技で強奪しようとする彼
らの姿は、むしろ破滅的な美学すら覚えてしまう。

トラック運転手の北川は学生時代の友人・幸田に金塊強盗を持ちかけ
る。SEの野田、元北朝鮮のスパイで爆弾技術者・モモ、エレベーター
技師のじいちゃん、北川の弟・春樹をメンバーに加え、準備を整える。

これだけの大きなヤマを狙うのならば当然北川の言うとおり「細心の
注意」を払うべきなのに、モモは公安や北の殺し屋に追われ、幸田は
極左組織に脅され、北川兄弟はチンピラとトラブルを起こす。さらに
内通者がいたりと計画はいつ破綻してもおかしくない。しかも彼らは
分かちがたい友情や信頼で結ばれているわけでは決してない。こんな
状態で果たして決行できるのかと、違った意味で非常にハラハラした。

ようやく北川たち突入部隊は銀行の地下に潜入し金庫室に向かうが、
その手際も"鮮やか"と言い難く、不確定要素に満ちたもの。やはり
ぶっつけ本番で強盗をするときは、臨機応変に危機に対応する柔軟さ
が必要だということだろうか。。。

お勧め度=★★*(★★★★★が最高)

「黄金を抱いて翔べ」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20121025

を参考にしてください。

本日はもう1本

「パラノーマル・アクティビティ4」 です。

姿を見せずに忍び寄り、室内モニターに不気味な動きが残される。子
供には見えるが、大人になり始めた少年少女には気配しか感じさせな
い。さらに今回、「それ」は幼い男の子を巧みに操り、無関係な人々
を破滅に追いやっていく。カメラは近所に引っ越してきた母子家庭の
息子の面倒を引き受けたことから起きる、ティーンエイジャー一家の
悲劇を追う。これまで形として現れなかった「それ」は暗視装置に人
の形をしたドット状に感知され、より明確な悪意を示しているようだ。

住宅街に住む女子高生・アレックスの両親は、隣家の6歳児・ロビーを
預かるが、ロビーは深夜徘徊などの不審な行動を繰り返す。彼女はBF
のベンの協力で家じゅうに監視用のパソコンを設置する。

固定した防犯カメラではなくカメラ付きノートパソコンを使い、映像
は受動的に「記録されたもの」から能動的に「記録したもの」に変容
する。まだ「それ」が家に憑りつくとどうなるか知らないアレックス
は、恐怖より好奇心が先に立つのだろう。このシリーズを見続けてい
る者にとって、ロビーという"「それ」の配下にある子供"を家に招
き入れたときから彼女と家族の運命はすでに知っている。だからこそ
アレックスたちの脇の甘さがもどかしく、つい声をかけて危険を知ら
せたくなる。

ただ、フェイクドキュメンタリーの体裁は半分捨ててしまったのは、
ネタ切れの感もするが。。。

お勧め度=★★(★★★★★が最高)

「パラノーマル・アクティビティ4」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20121102

を参考にしてください。