☆ こんな映画は見ちゃいけない! 2012/8/25 号 Vol.1405 ☆ 本日、とりあげる作品は 「フェイシング・アリ」 です。 スポーツ界のスーパースターというだけではなく、黒人公民権運動の 先頭に立ち、反ベトナム戦争で米国を敵に回して闘った偉大なファイ ター・モハメド・アリ。その言動がマスコミを騒がせたアリに対し、 対戦相手は勝っても負けてもアリの引き立て役に過ぎず、決してアリ より輝やいたりはしない。映画は、そんな、かつてアリとグローブを 交えたボクサーたちに、彼との試合がその後の人生にどういう影響を もたらしたかを問い、肉体に残ったアリの記憶に迫る。 若きアリに破れたクーパー、アリに黒星を付けたフレージャー、ノー トン、スピンクス、ホームズ、そしてアリが奇跡を体現した相手・フ ォアマンなどが次々と当時の様子を振り返り、アリの印象を語る。 インタビューの白眉はやはりフォアマンだろう。キンシャサでの試合、 ワンツーで足がもつれダウンした時、アリが「止めを刺さなかった」 と語る。普通なら倒れる前にもう1発パンチを放ち確実に仕留めるが、 アリは自制した。また3度の死闘を繰り広げたフレージャーは、アリが いてこそ己の名が後世にまで残っているのを十分に承知している。ア リという太陽の下では、歴戦の強打者たちも所詮は月にすぎないのだ。 アリの戦歴はそのまま対戦相手にとってはキャリアのピークでもあっ た事実に、あらためてアリが"The Greatest"であったと思い知らさ れる作品だった。個人的には「ロッキー」のモデルとなったといわれ ているチャック・ウェップナーのインタビューも聞いてみたかったが。 お勧め度=★★★*(★★★★★が最高) 「フェイシング・アリ」 についての詳細は、 http://d.hatena.ne.jp/otello/20120712 を参考にしてください。