2013年9月28日土曜日

こんな映画は見ちゃいけない!(9/28)

本日、とりあげる作品は
「TRASHED ゴミ地球の代償」です。

放置する、埋め立てる、焼却する。大量消費・使い捨ての時代、人間の日常生活から排出されるゴミは膨大な量となり、もはや適切に処理できなくなってきている。そこで問題視されるのはペットボトルやレジ袋といった自然分解されないプラスティック製のゴミ。それらはいつしか海に流出し、微生物が体内に取り込み、さらに食物連鎖を経て上位捕食動物に蓄積されていく。映画はジェレミー・アイアンズをガイドに世界のゴミ事情をレポートする。衝撃的な映像の数々は、ライフスタイルを改めなければ近い将来地球にぬぐい難い禍根を残すと警鐘を鳴らす。
環境に関心が深いジェレミー・アイアンズは、レバノンの古都・サイドン近郊でトラック満載の未処理のゴミが捨てられていく光景を見て驚く。英国では住宅地のすぐそばに大きな穴を掘りゴミを埋めている。
19世紀末以降、ゴミが急速に有毒化したのがいちばんの懸念材料とジェレミーは訴える。特に焼却したときに発生するダイオキシンが人体にもたらす影響は深刻。ベトナム戦争時にダイオキシン汚染された奇形児や胎児の標本は思わず目を背けたくなる。圧倒的にゴミを焼却場で処分するケースが多い日本においては他人事とは思えない恐怖だ。
当然ではあるが、最善の解決策はゴミを出さないこと。オーガニックを売りにする食料品・雑貨店では客にエコバッグを持参させ、無駄な包装は避けている。それが普通の市民にできるエコロジー活動なのだ。
お勧め度=★★★(★★★★★が最高)「TRASHED ゴミ地球の代償」についての詳細は、http://d.hatena.ne.jp/otello/20130913を参考にしてください。
本日はもう1本
「椿姫ができるまで」です。

抒情的でリリカルな前奏曲でのパフォーマンスから大胆な意見を交わす演出家とプリマドンナ。激しい応酬にもかかわらず、お互いの考え方を理解しようとする2人はどこかこの議論を楽しんでいるよう。あまりにも有名で世界的に愛されているオペラ、その解釈は冒険しすぎると前衛的とそっぽを向かれ、チャレンジが少ないと凡庸と評される。そういったプレッシャーの中で新たなヒロイン像を構築していく2人。映画はエクサン・プロヴァンス音楽祭で上演された「椿姫」の制作に密着する。スタジオでの顔合わせからステージでのリハーサルまで、「椿姫」の物語の進行とともにオペラも完成に近づいていく斬新な構成のおかげで、メイキングと音楽の両方を味わえる。
稽古場に集められたか「椿姫」の主要キャストたち。ヴィオレッタ役のナタリーに演出家のシヴァディエが感情を解き放てと指示を出す。ピアノ伴奏でヴィオレッタになりきるナタリーは試行錯誤する。
第1幕、舞踏会が始まると、快楽が人生と信じるヴィオレッタの思いを体で示すナタリー。様々なキメポーズを披露する場面に彼女の繊細さが反映される。ヴィオレッタがアルフレードと出会い、快楽より大切なものに気づくシーンは、まさしく己の生きるべき道を発見する瞬間。
"不思議"という言葉について延々レクチャーするシヴァディエの狙い通り、ナタリーは愛こそが人生の真実と目覚めるヴィオレッタを歓喜に満ちた歌と演技で表現することに成功する。
お勧め度=★★(★★★★★が最高)「椿姫ができるまで」についての詳細は、http://d.hatena.ne.jp/otello/20130821を参考にしてください。