2012年9月27日木曜日

こんな映画は見ちゃいけない!(9/27)

本日、とりあげる作品は

「ボーン・レガシー」 です。

凍てついた川の底にもぐり、酷寒の雪原を走り、むき出しの岩山を登
り、谷を飛び越える。その鍛え上げた強靭な肉体とあらゆる感情を抑
えた冷静な精神は、飲み薬によって維持されている。人間の限界を超
えるために政府機関によって生物学的に改造された殺人マシーン、だ
が、モラルに反する計画がばれるの恐れた上層部が彼の抹殺を図る。
映画はウイルスによって遺伝子レベルから強化された特殊工作員の、
アクセルを全開にするアクションを息つく間もない緊迫感で描く。

ジェイソン・ボーンの出現で暗殺者養成計画を破棄しようとする国家
調査研究所のリックは、最後の生き残りのアーロンにも魔手を伸ばす。
アーロンは、彼の血液サンプルを採取した研究者のマルタを訪ねる。

マルタもまたリックの組織から狙われ間一髪アーロンに助けられる。
もはや頼れるのはお互いのみ。アーロンは得意の偽装工作でリックの
追手をかわし、空港に向かう。何が起きているのか分からないが、確
実なのはじっとしていては殺されるということ。そんな状況で情報の
断片をつなぎ合わせてリック率いる国家権力の裏をかき真実に迫る過
程は、ミステリアスであるとともにスリリングだ。

そして、究極の心身増強ウイルスを注射したアーロンが超人的なダイ
ナミズムを身につけると、一気にギアチェンジする。「ボーン」の名
をタイトルに冠した以上最高のクオリティを求められる作り手側の熱
意とアイデアが見事に開花した作品だった。

お勧め度=★★★*(★★★★★が最高)

「ボーン・レガシー」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20120811

を参考にしてください。

本日はもう1本

「王様とボク」 です。

"大人になんかなりたくない!"と叫ぶ若者は、己の行動に責任を取
る自信がないのだろう。体格は一人前たが気持ちは未熟なまま、何者
にでもなれるのに、何者にもなれずに終わってしまう不安が彼を苦し
めている。映画は、そんな学生が12年ぶりに昏睡から目覚めた幼なじ
みと再会し、大人としての自覚を持つに至るまでを描く。守るべきも
のができ、学校生活や恋人との関係に悩み、友情がやがて使命感に変
わっていく過程は、力強さともろさが同居するはかない世界。その中
で精いっぱい生きようとする主人公の背中が物悲しい。

18歳になったミキヒコは親友のトモナリ、恋人のキエらとつるんでい
る。ある日、幼稚園の時の事故でずっと昏睡状態だったモリオが覚醒
したのをニュースをみたミキヒコは、モリオに面会に行く。

ミキヒコは"事故に遭ったのは僕だったかもしれない"といつも自問
していたはず。忘れたいのに夢に見るのは、原因が自分にあったので
はと我が身を責めているから。だから、精神年齢は6歳のままのモリオ
を引き受けようとする。しかし、過ぎ去った時間は戻らない、かとい
って未来が明るく開けているとは思えない閉塞感だけが彼を苛む。

施設で暮らすモリオを連れ出すだけでなく、学校を辞めてまでモリオ
に寄り添おうとするミキヒコもまた親の離婚という形で家族を失って
いる。そのあたりの、将来への漠然とした恐れや年齢を重ねることへ
のやり場のない不満を払拭しようともがくミキヒコが切なかった。

お勧め度=★★(★★★★★が最高)

「王様とボク」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20120926

を参考にしてください。