2012年9月22日土曜日

こんな映画は見ちゃいけない!(9/22)

本日、とりあげる作品は

「ソハの地下水道」 です。

もちろんユダヤ人にとってナチスドイツは恐怖と憎悪の対象だ。だが、
ウクライナ人にとってはスターリンの軛からの解放者であり、ポーラ
ンド人にとっては抑圧者。そしてユダヤ人の中にもさまざまな出身・
階層・言語があり、ひとつにまとまっているわけではない。第二次大
戦中期のポーランド・ウクライナ国境付近の都市、苛烈なドイツ支配
下で多様な民族国籍の人々が入り混じり、市民は己が生き残りだけで
精いっぱいだったはず。そんな、旧西側世界では語られなかった複雑
怪奇な東欧の歴史に運命を翻弄された主人公は、図らずもユダヤ人を
救う戦いに巻き込まれ、真価を問われていく。

下水修理工のソハはナチスの迫害から逃れてトンネルを掘るユダヤ人
の一団と遭遇、保護の代わりに見返りを求める。下水網に匿った十数
人に水と食料を運ぶが、ある日外に出たドイツ軍兵士を殺してしまう。

汚物が漂いネズミがうろつく不潔極まりない下水網にわずかに広がる
小さな空間で、ランプの灯りを頼りに寝食するユダヤ人たち。死の影
に脅えながらも人としての営みは忘れず「生」に対して貪欲なユダヤ
人像は、絶望した無抵抗な被害者といったこれまでのホロコーストも
のとは一線を画し強い生命力を感じさせる。

苦悩と逡巡を抱えつつも、結局は命がけでマンホールに入るソハ。コ
ソ泥だった彼にも良心があり、人の思いがそれを目覚めさせたのだ。
決してかっこよくはないが、その姿に勇気の大切さを教えられた。

お勧め度=★★★(★★★★★が最高)

「ソハの地下水道」
についての詳細は、

http://d.hatena.ne.jp/otello/20120803

を参考にしてください。