本日、とりあげる作品は
「鍵泥棒のメソッド」 です。
男の腹を刺しクルマのトランクに押し込めて現場から逃げ去る、わず
か数秒の鮮やか殺し屋の手口。財布の中身は千円札と小銭、自殺を試
みるが失敗する売れない役者の絶望。セリフはなくても、ほんの数カ
ット見せるだけで彼らがおかれた状況を端的にわからせてしまう映像
の力に引きつけられる。物語は、そんな2人の男がお互いのプロフィル
を交換したことから起きる様々なトラブルを描く。決して憧れていた
姿ではないけれど別の人生も意外と心地よい、ならばいっそなりきっ
てしまうとどうなるか。しかし世の中それほど甘くはなく、彼らには
大きな試練が待ち受ける。
元劇団員の桜井が銭湯に行くと、コンドウが石鹸で足を滑らせる。桜
井はコンドウのロッカーの鍵をすり替え、彼の服を着て銭湯を抜け出
し、記憶障害になったコンドウは自分が桜井だと思い込んでしまう。
桜井は金持ちのコンドウの身分も盗み、彼が"伝説の殺し屋"と知っ
ても尻込みせず、依頼人のヤクザと交渉したりする。一方、コンドウ
は婚活中の雑誌編集長・香苗と知り合い、結婚を申し込まれたりする。
どこかヌケているが殺し屋を演じ切ろうとする桜井の役者魂と、元来
の几帳面な性格で桜井以上にまっとうな役者を目指すコンドウのプロ
根性、努力家だが気持ちにゆとりのない香苗の独善。
コミカルかつディテール豊かな3人の軽妙なエピソードが絶妙のトラ
イアングルを形成し、予想を裏切る展開は二転三転する。
お勧め度=★★*(★★★★★が最高)
「鍵泥棒のメソッド」
についての詳細は、
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120919
を参考にしてください。
本日はもう1本
「バイオハザードV:リトリビューション」 です。
人間の生き血を求めて襲いかかる大量のゾンビ"アンデッド"を容赦
なくぶち殺していく、それが「バイオハザード」のお約束だったが、
今回は高度なサバイバル能力を備えた人間とクローンが敵。ただ衆を
頼み噛みつくしか能のないアンデッドの殺戮場面を抑えたことでより
戦闘シーンが洗練された。一か所クリアするとさらに困難な次のステ
ージに移動する構成はもはや映画というよりロールプレイングゲーム。
3Dで表現された壮絶なアクションは"飛び出し感"にあふれ、思わず
のけぞるほどの迫力で視覚的には大いに楽しめた。
秘密基地に監禁されたアリスを救出するために特殊部隊が派遣される。
独房を抜け出したアリスはエイダの協力を得、東京やNYの街並みを模
した空間を、ジル率いる追撃隊をかわしながら合流地点に向かう。
その過程で、アリスたちはクローン製造工場を通過、彼女を母と呼ぶ
クローンの少女と出会う。別の模倣都市では別のクローンが別の人生
を歩んでいる、まさにパラレルワールドを横切りながらアリスは目の
前の敵を倒していく。もともとこのシリーズにストーリーの整合性や
思想を欲張るのは野暮。追及するのは、いかに仮想空間でのバトルを
リアルに体感させるか。ここではレントゲン写真風の映像で骨が破壊
されるカットを挿入して痛みを再現するなど、随所に工夫が見られた。
もしかして次回作はクローン対人工知能の戦いになるのかも。ますま
すアンデッドの出番は少なくなるな。。。
お勧め度=★★*(★★★★★が最高)
「バイオハザードV:リトリビューション」
についての詳細は、
http://d.hatena.ne.jp/otello/20120918
を参考にしてください。